03

3:50 - 6:26

FDEが必要になる場合:製品と買い手の適合

この時点から動画を見る

FDEが必要になる条件――製品と買い手の組み合わせ

この章では、Forward-Deployed Engineering(FDE)が、どの会社にも必要な仕組みではないことを考えます。話し手は、FDEの必要性を「会社が何を売るか」と「誰が買うか」の組み合わせで説明します。動画のこの部分では、その組み合わせを二つの軸を持つ正方形(マトリックス)として示しています。ただし、自動文字起こしだけでは、軸の正確な名前や四つの区分までは確認できません。

二つの軸で考える

一つ目の軸は、製品またはプラットフォーム(platform)がどれほど技術的に複雑かです。ここでいうプラットフォームは、単に設定を変えて使うソフトウェアではありません。顧客がその上でアプリケーションや仕組みを作れる土台です。

二つ目の軸は、買い手や利用者がどれほど技術に詳しいかです。買い手(buyer)は契約や予算を決める人です。利用者(user)は実際に製品を使う人です。たとえば、最高技術責任者(CTO)や最高情報責任者(CIO)が買い手でも、利用者はソフトウェアエンジニアということがあります。一方、業界の役員や現場の業務担当者が買い手・利用者で、ソフトウェア開発は専門外という場合もあります。

この顧客像を、理想的な顧客プロファイル(ICP: Ideal Customer Profile)と呼びます。FDEを考えるときは、社名や業界だけでなく、「この複雑な製品を、どのような技術力を持つ人が買い、使うのか」を見ます。

FDEがなくてもよい組み合わせ

話し手は、技術的に高度な製品なら必ずFDEが必要になるわけではない、と説明します。GitHubやDatadogのような製品は技術的に複雑です。しかし、技術に詳しいリーダーに販売され、ソフトウェアエンジニアが利用します。その顧客には、製品を理解して自分たちで導入・構築する力があります。この場合、ベンダーが顧客先にエンジニアを送るFDEモデルは、必須ではありません。

反対に、Rippling、Jira、Slackのように、さまざまな設定ができても、顧客がその上で大きなアプリケーションを開発することを目的にしていない製品もあります。これらが技術に詳しくない買い手に販売されても、話し手の説明では、それだけでFDEが必要になるわけではありません。「複雑そうなSaaS(Software as a Service)だからFDE」という判断は早すぎます。

特別な組み合わせと実装の空白

Palantirのケースが特殊なのは、非常に技術的で、顧客がその上にアプリケーションを作るプラットフォームを、企業向けに販売する点です。大きなテクノロジー企業なら、自社のエンジニアがアプリケーションを作れるかもしれません。しかし、製造業などのFortune 500企業では、業界の知識は十分でも、そのプラットフォームを使ったソフトウェア開発やデータパイプライン構築の経験が十分でないことがあります。

ここに実装の空白があります。プラットフォームは技術的に強力でも、顧客が自分で理解し、設定し、必要な解決策を作れなければ、価値を実現できません。そこで、訓練を受けたエンジニアが顧客と近くで働きます。そのエンジニアは、顧客の業務を理解し、プラットフォームを使い、顧客向けのソフトウェア解決策を作ります。つまり、FDEは単に人手を貸す役割ではありません。顧客の課題と技術的な土台をつなぎ、成果まで届ける役割です。

例(説明のための例です):ある工場が、複数の設備データを使って保守の優先順位を決めたいとします。現場は設備の知識を持っていますが、プラットフォーム上でデータをつなぎ、業務用アプリケーションを作る経験はないかもしれません。FDEは現場の判断方法を聞き取り、プラットフォーム上で使える形にします。この例は概念を説明するためのもので、動画がこの具体的な業務を紹介しているわけではありません。

似ている役割との違い

FDEは、一般的な人材派遣でも、顧客成功(Customer Success)だけを担当するチームでもありません。派遣なら、顧客の指示に従って人手を提供することが中心になる場合があります。顧客成功チームは、利用状況を確認し、顧客が製品から価値を得られるよう支援します。FDEにもこのような支援はありますが、話し手が強調する中心部分は、顧客の業務を理解したエンジニアが、実際にソフトウェア解決策を構築することです。

話し手は、FDEを高級レストランのウェイターにもたとえます。客の好みや状況を理解し、決まった選択肢をそのまま渡すのではなく、合った体験を提案するという直感です。ただし、これは顧客に合わせた問題解決とサービスを理解するための比喩です。FDEの技術的な構成や開発方法を定義するものではありません。

採用を決めるための問い

FDEを導入する理由は、企業向けであることや、役割が注目されていることではありません。まず、技術的に深く、顧客ごとに作り変える必要がある製品を、技術に詳しくない買い手へ届けているかを確認します。その答えが「はい」なら、顧客側の理解・実装能力との間に空白があるかを調べます。空白がなければ、通常の販売や開発者向けの支援で十分かもしれません。

この適合(fit)は、FDEを単なる流行ではなく、製品と買い手の問題への対応にします。話し手が示したのは、すべての会社に当てはまる規則ではなく、FDEが必要かどうかを考えるための枠組みです。

100% スペースキーとドラッグで移動 | Ctrl/Cmdとホイールで拡大縮小