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なぜハーネスと評価を検討する必要があるのか

この章は、講演の冒頭で示される問題意識を整理します。中心となる問いは、「エージェントのために、自分たちのハーネスを作るべきか」です。ここでいうハーネスは、モデルだけではなく、モデルが仕事を進めるための流れ全体を支える仕組みです。

司会者は、カスタムハーネスを作ることが現在の重要な関心事だと紹介します。そして、Harrison Chase氏とLangChainを紹介し、ハーネスと評価(evals)についての発表が始まると説明します。これは講演への導入であり、ハーネスの正確な技術定義を提示する説明ではありません。

したがって、冒頭の歴史的な話や宣伝的な紹介は、技術的な証拠と分けて読みます。司会者は2022年のGPT-3時代からの流れにも触れますが、ここでは詳しい歴史的証拠は示されません。確実に言えるのは、この講演がハーネスを作る判断と、それを測る方法を一つの問題として扱うことです。

まず、ハーネスとは何か

ハーネスとは、モデルに質問を一度送るだけの部品ではありません。モデルに必要な情報を渡し、モデルの返答に応じて次の処理を進め、必要なら外部のツールやシステムを使わせる仕組みです。つまり、エージェントの実行を組み立て、管理する部分です。後の章では、ハーネスがコンテキストを集め、モデルを呼び出し、ツールの結果を次の処理へ戻す流れを詳しく見ます。

モデルだけの仕事とエージェントの仕事

最も単純な形では、モデルは入力に続く文章を予測します。たとえば、文章の続きを補うオートコンプリートなら、モデルの返答がそのまま結果になることがあります。この場合、必要な情報を準備し、何を実行するかを管理する大きな仕組みは必ずしも必要ではありません。

一方、エージェントは一回のタスクを完了するだけのものとは限りません。講演では、エージェントを仮想的な協働相手(virtual collaborator)のように考える見方が示されます。協働相手なら、依頼を理解し、情報を探し、ツールを使い、途中の結果を見て、次の行動を選ぶ必要があります。ハーネスは、このような複数の処理をつなぐ土台です。

例(補足):短いメールの続きを一文だけ作るなら、モデルへの一回の入力で足りるかもしれません。しかし、社内の資料を探し、内容を確認し、結果をまとめる仕事なら、情報の取得や処理の順番を支えるハーネスが必要になります。この例は考え方を示すためのもので、講演中の具体的な事例ではありません。

なぜハーネスと評価を一緒に考えるのか

ハーネスを作ることと、評価することは別々の作業ではありません。ハーネスが情報の渡し方や処理の順番を変えるなら、エージェントの結果も変わります。そのため、「どのハーネスを作るか」を決めるには、「何をよい結果とみなすか」を先に考える必要があります。評価は、エージェントの動作を決めた基準と比べる方法です。講演では、ハーネスの設計と評価の両方を、知能を自分たちで扱うための一部として見ます。

例(補足):同じモデルを使っても、必要な資料を渡すハーネスと、資料を渡さないハーネスでは結果が違うかもしれません。正しい答え、必要な手順、処理時間など、仕事に必要な基準を評価に入れなければ、どちらのハーネスがよいか判断できません。ここで重要なのは、評価の点数を先に決めることではなく、ハーネスの選択と測定の基準が結びついていることです。

この講演の道筋

この先の講演は、次の順番で進みます。

  • エージェントを、モデル・コンテキスト・ハーネスから成る仕組みとして見る
  • 汎用的なハーネスが、情報を集めてモデルやツールを動かす流れを確認する
  • 既製のハーネスを使う場合と、用途に合わせてカスタムする場合を比べる
  • 評価と可観測性(observability)で、結果と実行中の経路を調べる
  • 得られた証拠を使って、モデル、コンテキスト、またはハーネスを改善する流れを見る

この章の結論は、すぐに「自作すべきだ」と決めることではありません。まずハーネスが必要になる仕事の広さを見極め、その仕事でよい結果を測る方法を考えます。そのうえで、汎用的な仕組みから始めるのか、特定の用途に合わせて調整するのかを判断します。次章では、モデル、コンテキスト、ハーネスという三つの部分を分けて、この判断の土台を作ります。

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