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プライベート評価、可観測性、学習ループ

エージェント・ハーネスを作るときは、動くものを作るだけでは十分ではありません。どのくらいよく動いたか、なぜその結果になったか、そして次に何を変えるべきかを調べる必要があります。この章では、そのためのプライベート評価(private evals)と可観測性(observability)を説明します。

話者は、ミッション・クリティカルなエージェント、つまり失敗の影響が大きい仕事に使うエージェントでは、組織自身が評価の基準を持つ必要があると話します。一般的なベンチマークやモデルの宣伝だけでは、その組織の仕事にとって十分に良いかどうかは分かりません。

評価と可観測性は、別の問いに答える

評価(eval)は、エージェントの結果を、あらかじめ決めた基準と比べます。たとえば、正しい答えを返したか、必要な手順を完了したかを判定します。評価は、「この実行は基準を満たしたか」という問いに答えます。ここで重要なのは、話者はこの章で正式な指標や採点式を示していないことです。評価の役割についての説明として読みます。

可観測性は、実行の中で何が起きたかを見えるようにします。どのコンテキストがモデルに入ったか、実行中にコンテキストがどう増えたか、どの手順とツールが動いたかを調べられます。可観測性は、「この結果に至るまでに、内部で何が起きたか」という問いに答えます。

例:結果と原因を分けて見る

あるエージェントの成功率が低いとします。評価は、その成功率が低いという結果を示します。しかし、それだけでは原因は分かりません。可観測性を使うと、必要な情報がコンテキストに入っていなかったのか、ツールの結果が途中で失われたのか、別の問題があったのかを調べられます。つまり、評価は成績を測り、可観測性は次に調べる道筋を見せます。

プライベート評価は、組織の「よい」を定める

自社の重要な仕事をエージェントに任せるなら、その仕事に合ったデータと基準で評価する必要があります。話者が紹介する考えでは、プライベート評価は、組織の中で「よい」とはどのような状態かを定義します。これは、モデル全体の能力を一つの数字で表すこととは違います。

たとえば、ある会社にとって「よい」回答とは、正しいだけではなく、社内の手順を守り、必要な情報を引用し、決められた形式で返す回答かもしれません。これは説明のための例です。話者は、このような基準の具体的な採点式までは示していません。大切なのは、評価の基準を組織の実際の目的に合わせることです。

話者は、Satyaによる記事にある三つの原則に触れながら、AIへの投資で組織の強みを作る考え方を説明します。記事そのものは資料に含まれていないため、ここでは話者が説明した範囲だけを扱います。正確な引用文や記事の詳しい内容を、ここから補うことはできません。

図:AIへの投資で組織の優位性を作るための三つの原則を示すスライドです。

このスライドは、話者が紹介する三つの原則の並びと表現を確認するための視覚資料です。近くのフレームも同じスライドを示しており、三つの原則がはっきり見えます。ただし、この図だけで評価の具体的な指標や、各原則を実装する方法までは分かりません。

トレースとフィードバックを組織の記憶にする

評価の結果だけを保存しても、次の改善に使える情報は限られます。話者は、メモリ、トレース、フィードバック、意思決定、そして組織に蓄積されたコンテキストを自分たちで持つことの重要性を述べます。ここでいうトレース(trace)は、エージェントの実行中に何が起きたかを後からたどる記録です。

これらを残すと、組織は次のような記録を、将来の実行と実験に使えます。

  • どの入力とコンテキストが使われたか
  • どの手順やツールが実行されたか
  • 利用者や評価者がどのようなフィードバックを返したか
  • どの修正を試し、どの判断をしたか

測定して、少しずつ改善する学習ループ

話者は、この仕組みを「継続的な学習ループ」または「坂を登る機械(hill-climbing machine)」と表現します。ここでの意味は、実行を測定し、結果を見て、変更を試し、また測定することです。モデルだけを学習させるという意味ではありません。

流れを単純化すると、次のようになります。

  1. 組織のプライベート評価でエージェントを実行します。
  2. 成績と実行の記録を確認します。
  3. 問題に対応する変更を一つ以上試します。
  4. 同じ基準で再び測定し、変更の影響を比べます。

変更の対象は一つに限りません。評価結果とトレースから、ハーネスの手順を変えることもできます。モデルを変えたり、モデルを調整したりすることもできます。さらに、メモリやコンテキストを更新して、次の実行に必要な知識を渡すこともできます。したがって、エージェントの知能を改善する場所は、モデル、コンテキスト、ハーネスの三つにまたがります。

例:評価を次の実験につなげる

評価で「正しい資料を見つけたが、最終回答に反映できなかった」という失敗が見つかったとします。トレースを確認すると、検索結果はコンテキストに入っていたものの、最終段階で重要な部分が要約から落ちていたかもしれません。その場合、ハーネスの要約方法やコンテキストの渡し方を変更して、同じ評価をもう一度実行できます。この具体例は説明のために作ったもので、話者がこの失敗の詳細を報告したわけではありません。

「坂を登る」という比喩は、毎回の変更が必ず改善になるという保証ではありません。変更によって一つの評価が良くなっても、別の仕事が悪くなる可能性があります。だからこそ、同じプライベート評価と実行記録を繰り返し使い、何を変えた結果なのかを確認する必要があります。

次章:この考えをベンチマークで実行する

ここまでの話は、評価と可観測性を使って、組織に合ったエージェントを改善するという考え方です。次章では、話者が具体例として紹介するHarborに進みます。Harborは、サンドボックス内のタスクでエージェントを繰り返し評価するランナーとして説明されます。そこで、同じ仕事に対してモデルやハーネスを比べる方法が、より具体的になります。

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