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LangSmith Engineでトレースの整理と修正を自動化する

この章の問い

前の章では、エージェントを実行し、トレースを集め、問題を見つけ、改善する流れを見ました。しかし、この流れを人が毎回手作業で行うのは、難しく時間もかかります。ここでは、話者が紹介したLangSmith Engineのデモを通して、この作業をどこまで自動化しようとしているかを見ます。

Engineは何をするエージェントか

話者の説明では、Engineは評価される元のエージェントではありません。トレースの上で動き、改善作業を助ける別のエージェントです。トレースとは、ある実行でモデルに渡った情報、モデルの応答、ツールの呼び出しなどを記録したものです。

Engineの中身は、プロンプトを持つコーディングエージェントです。LangSmithのCLI(コマンドラインから使うインターフェース)にアクセスし、サブエージェントも使ってトレースを調べます。多くの実行記録を探索して、似た失敗や繰り返し起きる問題を見つけます。

図1 LangSmithの暗い画面に、Engineへの入口と受信したトレースの表が表示されています。

この画面は、Engineがトレースを扱う場所を示しています。表にはdocs_agentの実行記録が並んでいます。ただし、この静止画だけでは、Engineがその場で問題を作成している動作までは確認できません。

トレースから問題ボードへ

デモの流れは、次のように進みます。まず、エージェントの実行からトレースが入ってきます。Engineはそれらを調べ、共通する問題を整理します。その後、問題ボードに問題の説明を作り、原因を支えるトレースを関連付けます。

図2 LangSmith Engineの概要画面に、トレース量、分類された問題、重要度、問題の傾向が表示されています。

この画面は、Engineの作業を、トレースの整理と問題の監視に結び付けています。つまり、単に失敗を一件ずつ読むのではなく、繰り返すパターンを問題としてまとめる考え方です。画面は監視の状態を示しますが、バックグラウンドのエージェントが実際に問題ボードを作る瞬間までは示していません。

問題の説明には証拠を付ける

問題の説明だけでは、修正が必要だとすぐには判断できません。Engineは、説明に関係する実行記録を「Linked Traces」として結び付けます。作る側は、そのトレースを開いて、同じ問題が本当に起きているかを確認できます。したがって、問題の主張と、それを調べるための証拠が同じ場所にあります。

図3 問題の説明と、それを支える実行記録の一覧が同じ画面に表示されています。

この画面は、Engineの診断がトレースに結び付いていることを直接示します。ここで大切なのは、問題のタイトルを信じることではありません。関連トレースを見て、診断の根拠を調べられることです。

修正はプロンプトだけではない

Engineが提案する修正には、複数の層があります。プロンプトを変更する場合があります。モデルに渡すコンテキストを変更する場合もあります。指示の内容を変えることもあります。さらに、ハーネスのコードを追加または変更する提案もあります。

図4 問題画面に、指示・プロンプトの変更案と、ツール境界に置く修正案が表示されています。

画面では、指示やプロンプトの文章を変える案と、ツールの境界で内容を整える補助関数の案が分けて示されています。この違いは重要です。同じ失敗に見えても、必要な変更場所は、モデルへの指示、入力コンテキスト、またはハーネスの処理になる可能性があります。

図5 Engineの画面に、MDX形式のドキュメント出力を整える複数ファイルのコード差分が表示されています。

この差分は、Engineがコードの修正案まで作れるというデモの一例です。コードの細かい行は画面から確実には読めません。したがって、ここから具体的な実装内容や、修正が本番環境へ自動適用されたことを推測してはいけません。

自動化しても、改善ループの考え方は同じ

Engineは複雑に見えますが、前の章の流れを置き換えるものではありません。基本は、エージェントを実行し、トレースを集め、繰り返し起きるパターンを見つけ、修正案を作り、次の実験につなげる流れです。Engineは、この中のトレースの選別、実験の作成、修正案の提示を自動化しようとします。

例:同じ出力の問題が何度も起きる場合

例として、複数のトレースでドキュメント出力の形式が崩れていたとします。Engineは関連するトレースを集め、共通する問題を説明し、根拠となる実行をリンクします。そのうえで、指示を変える案や、ツールから返す内容を整えるコード案を示します。作る側は案とトレースを確認し、必要なら修正を実験します。この例は説明のためのものです。話者は、すべての提案が正しい、または自動で適用されるとは述べていません。

デモから読み取れる範囲

話者は、このデモが失敗するかもしれないと話した後、動作したと報告しています。しかし、各画面で問題がどのように作られたのか、提案された修正が実際に適用されたのかは、詳しく示されていません。ここで確認できるのは、Engineを使って、トレースの整理から証拠付きの問題、そして複数の層の修正案へ進むワークフローを試していることです。これは、提案が常に正しいことの証明ではありません。

まとめ

LangSmith Engineは、トレースの上で動くコーディングエージェントです。CLIとサブエージェントを使ってトレースを調べ、繰り返す問題を整理し、関連トレースを証拠として付け、プロンプト、コンテキスト、指示、ハーネスコードの修正案を作ります。これにより、難しく時間のかかる改善作業を自動化しようとしています。ただし、最終的な判断と検証は、作る側の仕事として残ります。

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