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収束:確率的エージェントと記号的なガードレール

この章では、確率的に文章や行動案を作るエージェントと、オントロジーのように形式化された知識を組み合わせる考え方を説明します。話者は、この組み合わせを**ニューロシンボリックAI(neuro-symbolic AI)**と呼んでいます。

二つの仕組みを組み合わせる

話者の主張では、LLMエージェントは確率的な仕組みです。入力に対して、次に現れそうな言葉や、次に取るべき行動を予測します。そのため、決まった規則だけを順番に実行するのではなく、さまざまな表現や計画を柔軟に作れます。

一方、オントロジーは、ある領域に何があり、それらがどう関係するかを形式的に表すものです。そこに記号的AI(symbolic AI)の規則や知識グラフを組み合わせると、領域についての基準を明示できます。ここでいう記号的な仕組みは、言葉を生成するモデルとは別に、型、関係、規則などを扱います。

ニューロシンボリックAIとは、ニューラルネットワークを、記号的AI、ルールベース・システム、知識グラフなどにつなぐ考え方です。ニューラル側は、入力を解釈して文章や行動案を作ります。記号側は、その案を領域の知識や規則と照らし合わせます。どちらか一方だけで、話者が説明するエージェント全体になるわけではありません。

オントロジーが「道から外れない」ための基準になる

話者が提案する仕組みは、次のように動きます。まず、確率的なモデルが回答やツールの使い方を提案します。次に、オントロジーとその規則を参照して、提案がその領域で妥当かを確認します。必要なら、検証器(validator)や推論器(reasoner)が、結果を受け入れるか、モデルに戻すかを判断します。

この意味で、記号的な側はLLMをガードレール(guardrail)の内側に保つ役割を持ちます。ガードレールは、モデルが絶対に間違えないようにする壁ではありません。モデルの提案を、明示された領域の基準に従って調べるための仕組みです。後で扱うRDFSやOWLは、この記号的な支援を具体化する技術として登場します。

ハルシネーションをどう見るか

話者は、LLMの**ハルシネーション(hallucination)**を、確率的な生成の結果、またはその特徴として扱います。人間も、まだ存在しないものを想像し、それを現実に作ることがあります。話者は、LLMにもそのような想像的な生成力がある、と説明しています。

ただし、「特徴」と呼ぶことは、根拠のない出力をすべて受け入れてよい、という意味ではありません。話者の表現は、LLMが新しい組み合わせを生成する性質を強調するものです。この章の中心は、その生成をそのまま信じることではなく、形式的な知識と規則で確認することです。どの出力を受け入れられるかについて、ここでの話者の説明は細かく定めていません。

例:柔軟な提案と形式的な確認

例(この章の理解のための作例)

ある問い合わせに対して、エージェントが「このツールを使い、この引数で調べます」と提案したとします。LLMは、自然な文章を理解し、状況に合いそうな引数を作るのが得意です。しかし、その引数やツールの結果が、組織の領域モデルと合っているかは別に確認する必要があります。

そこでオントロジーが、対象となる種類、関係、許される条件を示します。検証器は、エージェントの提案やツールの結果がその基準に反していないかを調べます。反していれば、モデルに別の案を求めたり、処理を止めて人に確認してもらったりできます。これは話者の考えを具体化した作例であり、動画が特定の問い合わせ手順を示しているわけではありません。

この分担では、確率的なエージェントが柔軟な生成と行動計画を担当し、オントロジー側が領域に関する形式的な確認を担当します。オントロジーを加えても、LLMの生成が確率的でなくなるわけではありません。生成する側と確認する側をつなぐことが、「収束」の意味です。

次に見ること

次の章では、オントロジーをエンティティ、関係、プロパティからなるグラフとして考えます。その後、RDFSとOWLが型を導いたり、関係の制約を表したりする方法を見ます。さらに、エージェントがツールを使うループに、検証器をどこで入れるかを確認します。ここで導入した分担が、後の具体的な検証ループにつながります。

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