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グラフとしてのオントロジー:エンティティ、関係、拡張性

この章では、オントロジーをグラフとして見る考え方を説明します。中心になるのは、エンティティ、エンティティどうしの関係、そしてエンティティのプロパティです。その後で、グラフデータベースとリレーショナルテーブルを比べます。最後に、組織が自分たちの仕事をどのように形式化できるかという問いにつなげます。

オントロジーを構成する三つの要素

エンティティ(entity)は、モデルの中で区別して扱う対象です。たとえば、ある組織を表すモデルなら、顧客や注文のような対象をエンティティにできます。エンティティは、単なる単語ではありません。モデルの中で「この対象について考える」と決めた単位です。

関係(relationship)は、二つ以上のエンティティがどのようにつながっているかを表します。たとえば「顧客が注文する」という関係では、顧客と注文が別のエンティティであり、「注文する」が両者を結びます。関係には向きがある場合もあります。どの対象が関係の出発点で、どの対象が相手なのかを区別できることが大切です。

プロパティ(property)は、エンティティが持つ特徴や値です。顧客なら名前、注文なら注文日がプロパティの例です。つまり、エンティティは対象、関係は対象どうしのつながり、プロパティは対象の特徴です。この三つを分けると、ドメイン(domain)で何が存在し、何がどう結びつくかを整理できます。

例:仕事の世界をグラフで表す

**例(説明のための例)**として、顧客が注文を出し、その注文が商品を含む場面を考えます。「顧客」「注文」「商品」はエンティティです。「顧客が注文する」「注文が商品を含む」は関係です。顧客の名前や注文の日時はプロパティです。グラフでは、このような対象を点として、関係を線として表せます。すると、エージェントが扱うべき対象とつながりを、目で確認できる形にできます。

ここで、オントロジーとグラフデータベースを同じものだと考えないようにします。オントロジーは、対象の種類、関係、プロパティをどう理解するかという概念モデルです。一方、グラフデータベースは、そのような情報を保存したり検索したりするための実装です。両者は同一ではありません。ただし、対象と関係を中心に情報を扱うため、オントロジーはグラフデータベースと自然に組み合わせられます。これは、講演者が示す組み合わせです。

リレーショナルテーブルとの対比

講演者は、グラフデータベースをリレーショナルテーブルへの不満と結びつけて説明します。リレーショナルデータベースでは、情報を表と列の構造で表すことが多いです。そこへ新しい種類の情報を加えると、新しい列が必要になり、構造の変更が必要になる場合があります。講演者が示すのは、このような固定された表の構造と、グラフの柔軟な構造との対比です。

グラフでは、既存の情報に別の項目を加えたり、エンティティに新しいプロパティを加えたり、エンティティどうしに新しい関係を加えたりできます。情報の追加を、表全体の列構造を先に作り直す作業としてではなく、グラフの一部を広げる作業として扱える、という考え方です。ただし、これはリレーショナルデータベースが決して変更できないという意味ではありません。講演者の例は、ドメインの変化をモデルに取り込みやすいかどうかという、モデリングの柔軟性の話です。

組織の仕事を形式化する

この説明から、講演者は「組織は、自分たちがしていることをどのように形式化できるのか」と問いかけます。組織の仕事に登場する対象、対象の特徴、対象どうしのつながりを明示すれば、仕事のドメインを共有できるモデルに近づけます。補足すると、このモデルはエージェントが推論する対象を明確にする土台にもなります。エージェントが何を扱い、どの関係を作れるかを、グラフの語彙で確認しやすくなるためです。

グラフの語彙を決めた後の問い

エンティティ、関係、プロパティを決めることは、出発点にすぎません。組織は、その語彙をどのように見つけ、どの順番で構造化するかも決める必要があります。講演者はこの後で、専門家の分析から始めるトップダウンの方法と、観察された活動から始めるボトムアップの方法を区別します。グラフは情報を広げやすい形を与えますが、何を表すべきかを考える作業そのものを不要にはしません。

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