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AIを中心にワークフローを再設計する

FDEの第二の責任は、業務フローを作り直すことです

前の章では、FDE(forward-deployed engineer)が顧客の実際の仕事を調べ、業務フローを地図のように整理する役割を見ました。話者が示す次の責任は、そのフローにAIを後から足すことではありません。AIを中心に、仕事の進み方そのものを再設計することです。話者は、壊れたプロセスにAIを「ただ貼り付ける」だけでは不十分だと説明します。

その背景として、話者は約95%、別の例では87%というパイロットに関する数字を挙げます。そして、パイロットが本番環境まで進まなかったり、測定できるROI(投資対効果)を生まなかったりする問題を説明します。これは話者が参照した数字です。調査の定義、比較対象、測定方法は、この講演では示されていません。そのため、一般に成り立つ統計としてではなく、プロセス設計の重要性を説明する材料として読む必要があります。

AIの出力を、実際の仕事に合わせる

原因は、モデルが答えを作れるかどうかだけではありません。元の業務フローや担当者の状況を理解しないままモデルを入れると、出力が正しく見えても、現場の仕事の進め方に合わないことがあります。たとえば、誰が承認するのか、どの情報を先に確認するのか、例外が起きたら誰に渡すのかが分からなければ、AIの提案は実行できません。前章のプロセス調査は、このような不一致を見つけるための準備です。

例: 経費処理の途中で担当者が確認する順番を間違えやすいのに、そのままAIに「確認を自動化してください」と頼むとします。AIは一つの作業を速くしても、承認の順番や例外の扱いという元の問題を残します。プロセスを先に見直し、AIに任せる部分と人が判断する部分を組み直してから、自動化を設計します。

話者はコーディングとの対比も使います。コードを書く場合は、AIが作業を進めても、人が目的や必要な入力を与える場面が残ります。しかし、財務、営業、マーケティング、調達、物流の担当者は、それぞれ異なる業務知識を持っています。同じように見える作業でも、現場の文脈は同じではありません。したがって、単にモデルやAPIを渡すだけでは、業務をAI中心に変えたことにはなりません。

導入しやすさとROIを同時に考える

再設計には、導入のしやすさと価値の大きさの緊張関係があります。置き換える仕組みが今の仕事とまったく違えば、利用者は使い方を理解できません。一方で、今の仕事とほとんど同じなら、変えるコストに見合う価値が見えません。話者の説明では、置き換えは現場が操作できるほど身近でありながら、測定できる価値を生むほど新しくなければなりません。ここでいう価値は、時間短縮だけでなく、コスト、売上、リスクなどへの効果も含みます。

例: 11段階の業務を1段階に圧縮できたとしても、利用者が「何が省かれ、どこで判断するのか」を理解できなければ、導入は進みません。逆に、AIが裏で複数の段階を処理しながら、利用者には必要な確認点を分かりやすく示せば、変化を受け入れやすくなります。これは、作業を短くすることと、仕事を設計し直すことが同じではないことを示す例です。

各ステップに適切な自動化の境界を置く

話者は、業務の各ステップを三つの種類に分ける考え方を示します。

  • AIが自律的に処理するステップ
  • **Human-in-the-loop(人間が途中で確認・介入する方式)**のステップ
  • 最初から最後まで人が担当するステップ

たとえば、8ステップのフローなら、4ステップを自律処理、3ステップを人間の確認付き、1ステップを人だけの処理にする、という配分です。これは特定の会社に必ず適用するテンプレートではなく、リスクと価値を見て境界を調整するための説明例です。人間が途中で確認する方式では、AIが作業の一部を進め、人が必要な場面で確認または修正します。人だけのステップは、それとは違います。リスクが高すぎる場合や、AIを入れても価値が十分でない場合には、その部分を自動化しない判断です。

図:FDEが必要な理由として、現在の仕事の把握、AIを中心にしたプロセスの再設計、既存システム上へのエージェントの導入という流れを示すスライドです。

このスライドは、FDEの仕事がツールを渡すだけではなく、既存の仕事を調べ、AIに合う形へ変え、実際の環境に導入することだという説明を支えます。ただし、画像には上の「8ステップを4・3・1に分ける」具体的な配分までは表示されていません。

このように、前章で見た業務の把握が、ステップごとの自動化判断につながります。その後は、判断したフローを企業の既存システム上に実装し、運用できる形にする必要があります。次の章では、そのためにエージェントを既存の基幹システムの上へ置く考え方を扱います。

なお、講演の一部には聞き取りが不確かな語があり、「gold loops」という表現も明確ではありません。また、95%、87%という数字や4・3・1の配分が、どの顧客の正式な事例なのかは示されていません。ここでは、確認できる範囲で話者の主張と説明例として扱っています。

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